- 食品科学科
食品中のナトリウム量を正確に測定することは、健康的な食生活を支えるうえで重要です。また、定量核磁気共鳴(qNMR)法*は夾雑物の影響を受けにくく、高い定量性が得られる点が特徴です。本学食品科学科の小椋賢治教授は、このqNMR法を食品中のナトリウム分析に応用しました。
qNMR法によりナトリウム量を測定するには、23Na-NMRスペクトル(図1)を測定し、その信号面積と検量線(図2)を用いて、濃度未知試料のナトリウム量を求めます。従来の方法(電極法、原子吸光法)では、ナトリウムの状態や濃度によって測定値が大きく変化しましたが、今回開発した方法ではどのような条件であっても小さい誤差で測定が可能です。本研究で得られた値は電極法による測定値や食品表示とも良く一致し、食品中ナトリウムを迅速かつ信頼性高く評価できる技術として期待されます。
なお、本研究に使用したNMR装置(図3)は2024年3月に本学へ導入されたもので、装置設置からわずか半年後の2024年10月に国際学術誌へ成果を発表するなど、迅速な研究展開としても注目されます。
掲載誌:Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
DOI: https://doi.org/10.1093/bbb/zbae150
論文タイトル:Quantitative analysis of sodium concentration in condiments, soft drinks, and mineral water by external standard 23Na-qNMR
著者:Kenji Ogura
*核磁気共鳴法:強い磁場中に置かれた原子に電磁波をかけたときに生じる微弱な発振電波を測定することで、物質の化学構造、物性や定量分析をおこなう方法です。図3の白い筒状の装置は超伝導磁石で、半永久的に強力な磁場を発生しています。