生産科学科
植物基礎系

植物遺伝学を基礎として植物の多様性の理解と有効利用を行う分野、植物分子生理学を基礎として物質生産の効率化と環境保全型農業の展開を行う分野、および応用昆虫学と植物病理学を基礎として生物間の相互作用(植物と病原体?害虫)の解明と防除技術の開発を行う分野の4分野からなり、いずれもバイオテクノロジーを駆使できる人材の育成を目的としています。
植物育種学分野
有用植物資源の遺伝様式を解明し、遺伝的素質を改良した新規植物を創出する研究とともに、地域特有の資源植物の探索?利用に関する教育研究を行います。
植物分子生理学分野
植物の成長?発達における様々な生理学的事象を分子および生化学レベルで解明し、分子育種による実用植物の生産性の効率化や劣悪環境に耐性を示す植物などの研究開発を行うとともに、植物の生理学的事象を分子生物学的側面から教育研究を行います。
応用昆虫学分野
昆虫の形態、生理、行動、生態を明らかにし、その特徴に基づいた害虫防除法の開発に関わる教育研究を行います。また昆虫と植物との相互作用の解明を通じて、害虫の発生予察や診断、その制御方法の教育研究を行います。
植物病理学分野
病原微生物による植物寄生のしくみを分子?遺伝子レベルで理解し、植物の病気の発生メカニズムを明らかにすることを目的とする。さらに、その被害を軽減する方法(防除法や予防法)の確立を目指した教育研究を行います。
研究クローズアップ
次世代シーケンサーを活用して、ゲノム育種を加速させる(植物基礎系 植物育種学分野)

高木 宏樹 准教授
農業における有用遺伝子の同定に次世代シーケンサーを活用
新たに有用な遺伝子を同定することは、ゲノム情報を活用した育種において重要な課題です。しかし、従来の技術を用いた遺伝子同定は、多大な時間と労力、コストを必要とするため、当研究室では「次世代シーケンサー」とよばれるゲノム解読装置を活用した迅速かつ低コストの新規有用遺伝子技術の開発に取り組んでいます。これまでに、イネにおける耐塩性遺伝子を同定し、同定した遺伝子を活用して新たな品種の育成に成功しています。
アブラナ科野菜の形質を制御する遺伝子を同定し、育種に活かす
現在、私が取り組んでいるのは、アブラナ科野菜の育種です。なかでも、Brassicarapaという植物種に興味を持っています。この植物種には、かぶ、白菜、水菜、チンゲン菜など、私たちが普段食べている身近な野菜が属しています。これらの野菜における形質の違いが、どのような遺伝子によって制御されているのかを解析し、同定したいと考えています。遺伝子同定ができれば、実際にそのゲノム情報を活用した育種にも挑戦していきます。